マンション幹線計算ツールの使い方|引込回線の合算・分割の比較・需要率の求め方・区間別計算の手順
「マンション幹線計算ツール」は、マンション・集合住宅の引込幹線を需要率(同時に使われる割合)込みで区間別に計算し、MCCB容量・CVTケーブルサイズ・電圧降下の合否までブラウザだけで確認できる無料ツールです。引込回線を「合算」するか「分割」するかでサイズがどう変わるかも、その場で比較できます。
全戸の設備容量をそのまま足し合わせると幹線は過大になります。実際には全戸が同時にフル稼働することはないため、戸数に応じた需要率を見込んで容量を決めます。本ツールはこの需要率の適用と区間別計算を自動化し、手計算のやり直しや需要率表の引き直しの手間をなくします。このページでは、実際の画面に沿って各機能の使い方を順番に解説します。
このツールでできること
- 引込回線の「全合算/全分割/現状」をワンタップで比較し、そのまま採用
- 回線に属する合計戸数で需要率表を引き直す自動再計算
- 点灯する窓の数で「同時に使われる住戸ぶん」を示す需要率の可視化
- ①引込幹線・②系統幹線・③住戸分岐の区間別サイズ選定(MCCB+CVT)
- ①+②+③合計の許容電圧降下率による合否判定
- 入力に連動して更新される幹線系統図(単線図)の自動生成
- エレベーター・ポンプ・共用灯などの共用部負荷を別系統で算定
- 布設方法(多条ラック/1条布設)・低減係数・需要率表・CVT許容電流表の編集
- A4計算書(印刷/PDF)・CSV・系統図画像・共有リンク/QR・案件保存
3つの入力モードと画面構成
起動するとスタート画面が開きます。使い方に合わせて入口を選べます。

画面は上部のタブで「かんたん入力」「くわしく入力」「結果と解説」の3つに分かれています。まずは「かんたん入力」で概算し、必要に応じて「くわしく入力」で系統や条件を調整、「結果と解説」で判定と計算書を確認する、という流れが基本です。入力内容はお使いのブラウザ内にのみ保存され、サーバーには送信されません(案件として複数保存・呼び出しも可能です)。
STEP1:かんたん入力で概算する
「かんたん入力」は、代表的な1棟分を数問に答えるだけで概算するモードです。総戸数・契約容量・階数・横引き・引込こう長などを順番に選び、最後の確認画面からそのまま計算結果へ進めます。

住戸タイプが複数ある場合や、回線を細かく分けたい場合は、ここで概算したあと「くわしく入力」で調整できます。まずは代表1棟で全体像をつかむのがおすすめです。
STEP2:くわしく入力で系統・戸数を調整する
「くわしく入力」の系統の入力では、住戸系統ごとに戸数の内訳(契約容量別の戸数)と各区間のこう長を入力します。「引込回線No.」で、どの引込回線に束ねるかを指定できます(同じNo.の系統は1回線に合算されます)。

引込幹線こう長(引込点→引込開閉器盤)、系統幹線の横引き・立上り、住戸分岐長など、区間ごとのこう長を入れることで、後の電圧降下計算が正確になります。
STEP3:引込回線の合算・分割を比較する
組み換え比較では、全系統を1回線に合算した場合と、系統ごとに分割した場合を並べて比較できます。合算するほど1回線あたりの戸数が増えて需要率は下がりますが、1回線あたりの電流・サイズが実用上限を超える場合は分割が必要になります。

比較表は許容電流ベースの一次選定です。電圧降下による太径化は、採用した構成に対して結果側で反映されます。「全合算」「全分割」「現状」を見比べ、実用上限に収まる範囲でもっとも合理的な構成を選んで適用してください。
幹線系統図で全体像を確認する
入力に連動して幹線系統図(単線図)が自動生成されます。色は引込回線の割当を表し、①引込・②系統幹線・③住戸分岐の各区間に、選定されたMCCBとCVTサイズが表記されます(↑は電圧降下による太径化を示します)。

共用部負荷を別系統で算定する
共用部負荷では、エレベーター・給排水/消火栓ポンプ・共用灯・換気などの共用負荷を、住戸系統とは別に算定できます。相ごと(三相200V/単相3線100/200V)に幹線サイズと電圧降下を求められます。

計算条件(布設方法・需要率表・許容電流)を調整する
計算条件では、案件基準に合わせて各種条件を編集できます。布設方法を「多条ラック布設(低減0.7)」と「1条布設(内線規程準拠・低減1.0)」でワンタッチ切替でき、電流低減係数・許容電圧降下率・引込回線の実用上限サイズも変更できます。

需要率表は合計戸数で適用され(既定は内線規程 資料3-6-1の集合住宅の総合需要率)、各戸の値を電力会社・案件基準に合わせて上書きできます。CVT許容電流表・契約容量(kVA/戸)も編集可能です。最新版で数値が変わる場合があるため、採用前に規程・メーカー値をご確認ください。
STEP4:需要率の可視化で「なぜ小さくできるか」を理解する
「結果と解説」の需要率の可視化では、点灯している窓の数がピーク時に使われる住戸ぶん(=需要率)の目安です。回線を合算するほど戸数が増えて需要率が下がる——その効果がそのまま図とグラフで表されます。

STEP5:計算結果と電圧降下判定を確認する
計算結果(採用構成)では、総合判定・引込回線数・引込断面積計に加え、①引込幹線・②系統幹線・③住戸分岐の区間別表と、電圧降下(①+②+③合計)の判定が表示されます。幹線の余裕度グラフで、電流に対するケーブル許容電流(×低減)の余裕も一目で確認できます。

電圧降下の許容値は、内線規程1310の目安(こう長60m以下=2%/120m以下=4%/200m以下=5%/200m超=6%)を参考に選べます。専用回路や採用基準に応じて任意の値も入力できます。
計算の根拠を確認する(計算の解説)
計算の解説では、需要負荷・電流・MCCB・ケーブルサイズ・電圧降下が、どの式・どの数値から求められたかを区間ごとに順を追って表示します。積算や社内チェックの根拠資料としてそのまま使えます。

計算書・CSV・共有リンクを出力する
共有・保存・出力から、A4計算書の印刷/PDF保存、CSV書き出し、系統図のSVG/PNG保存、共有リンク・QRコードの発行、案件データの保存・読み込みができます。

よくあるつまずき・ポイント
- 合算し過ぎに注意:需要率は下がりますが、1回線の電流・サイズが実用上限を超えたら分割します。組み換え比較で上限内かを確認しましょう。
- こう長は区間ごとに:引込・横引き・立上り・分岐を分けて入れると、電圧降下判定が実態に合います。
- 需要率・許容電流は案件基準で:電力会社や社内基準がある場合は、計算条件で表を上書きしてください。
- 共用部は別引込のことが多い:住戸系統と別契約になる場合があるため、共用部負荷は別系統で確認します。
実際に使ってみる
下記のページから、インストール不要でブラウザ上ですぐにお試しいただけます。→ マンション幹線計算ツール
まとめ
需要率の考え方と引込回線の合算・分割の比較を押さえれば、マンションの幹線サイズ選定と電圧降下の確認が短時間で行えます。かんたん入力で概算 → くわしく入力と計算条件で調整 → 結果と解説で判定・出力、という流れが基本です。計算条件は案件・電力会社の基準に合わせて調整のうえ、最終的な確認は最新の規程・メーカー値で行ってください。ご要望はお問い合わせからお寄せください。