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電気設備設計士が教える失敗しない!住宅向けコンセント計画

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電気設備設計者が教える、後悔しないためのポイント💡

新しい家を建てる際やリフォームのとき、つい後回しにされがちなのがコンセントの計画です。しかし、これが原因で「あそこにコンセントがあれば…」「延長コードが邪魔!」といった後悔につながることが少なくありません。

この記事では、電気設備設計者の視点から、失敗しないためのポイントをまとめました。

なぜコンセント計画が重要なのか?

コンセントは日々の生活を支える大切なインフラです。数が足りなかったり、位置が悪かったりすると、次のような問題が生じます。

  • 家電が使えない: 使いたい場所で家電が使えず、延長コードが必須になる。
  • 見た目が悪い: 延長コードが床を這い、生活感が出たり、掃除の邪魔になったりする。
  • 安全性の問題: たこ足配線による火災リスクが高まる。

失敗しないための3つのポイント

1. ライフスタイルを想像する

まずは、新居での生活を具体的にイメージしてみましょう。

  • どこで何をしたいか?: リビングでスマホを充電しながらくつろぎたい、キッチンカウンターでミキサーを使いたい、など具体的にリストアップします。
  • 家具の配置は?: テレビやパソコンなど、常設する家電の位置を決め、その周辺にコンセントを複数配置します。
  • 将来のことも考える: 子どもが増えたら、ロボット掃除機を導入したら、など将来を見据えた計画を立てておきましょう。

2. コンセントの数を確保する

「少し多すぎるかな?」と思うくらいがちょうど良いです。一般的な目安として、6畳の部屋に2〜3ヶ所、リビングには4〜5ヶ所は確保したいところです。

3. コンセントの種類と位置を工夫する

コンセントには様々な種類があります。用途に応じて適切なものを選びましょう。

【場所別】失敗しないコンセントの設置例

場所主な用途
玄関飾り物(クリスマスツリーなど)、掃除用
キッチンの手元調理家電(ミキサーなど)、タブレット用
ダイニングテーブル付近ホットプレートなどの調理家電、パソコン用
リビング季節物(扇風機など)、AV機器用
ソファ周りスマートフォンやノートパソコンの充電用
脱衣洗面所冷暖房器具、美容家電用
ベッド周り充電、季節物(加湿器など)用
収納内ロボット掃除機、コードレス掃除機の充電用
廊下夜間の足元灯用
外周り高圧洗浄機、電動工具用

コンセントの種類と主な用途

種類主な用途と特徴
単相100V一般的な家電用。最も普及しているタイプです。
単相200VIHクッキングヒーターや大型エアコンなど、消費電力の大きい家電専用です。
アース付き冷蔵庫や洗濯機など水回りの家電用。漏電時に感電を防ぐ役割があります。
テレビ端子付きテレビのアンテナ端子が一体型。配線がすっきりします。
屋外用庭での作業やイルミネーション用。防水カバーが付いています。
フロア床に埋め込むタイプ。使用しない時は平らな状態に収納できます。
スイッチ付きプラグを抜かずにオン/オフ可能。待機電力を節約できます。
USB端子アダプターなしでスマホなどを直接充電できます。
抜け止め差し込んで回すとロックされ、不意に抜けるのを防ぎます。
マグネット磁力で固定。コードに足を引っ掛けても簡単に外れます。

コンセントの増設方法と注意点

コンセントの増設には、いくつかの方法と注意点があります。安全で快適な生活のために、しっかりと理解しておきましょう。

増設方法の種類と特徴

コンセントの増設方法は、大きく分けて2種類あります。

  • 露出型増設:
    • メリット: 工事が比較的簡単で、費用が安く済みます。
    • デメリット: 壁の表面に配線やコンセントを取り付けるため、見た目がすっきりしません。
  • 埋め込み型増設:
    • メリット: 配線が壁の中に隠れるため、見た目がすっきりします。
    • デメリット: 大がかりな工事が必要で、費用も高くなる傾向があります。壁の構造によっては施工が難しい場合もあります。

増設工事の注意点

コンセント増設は専門的な知識と技術が必要です。安全に工事を行うために、以下の点に注意しましょう。

  • 専門業者への依頼: 電気工事は、電気工事士の資格を持つ専門業者に必ず依頼しましょう。DIYでの増設は、感電や火災のリスクがあり非常に危険です。
  • 分電盤の確認: 増設するコンセントの数が増えると、分電盤の容量が不足する場合があります。事前に容量を確認し、必要であれば分電盤の容量アップも合わせて検討しましょう。
  • 安全対策と法律: 工事を行う際は、ブレーカーを落とすなど安全対策を徹底します。また、電気工事士法などの法的な規制も守る必要があります。

増設工事の費用相場とポイント

費用は、増設するコンセントの数や工事方法によって異なります。露出型増設の方が、埋め込み型よりも安価です。具体的な費用は専門業者に見積もりを依頼しましょう。

増設する際は、将来使う可能性のある家電や、家具の配置部屋の用途などを考慮することで、より快適で使いやすい空間が実現できます。

まとめ

コンセント計画は、間取りが決まった段階で設計者や工務店としっかり話し合うことが何よりも重要です。実際に生活するシーンを想像し、どこに何が必要かを早めに相談することで、将来的な後悔をなくし、快適で安全な生活空間を手に入れることができます。

この素案を参考に、ぜひ最高のコンセント計画を立ててください。

ABOUT ME
HARITA
HARITA
はじめまして、電気設備設計士のハリタと申します。 これまで約10年間にわたり、建築物や工場、商業施設などさまざまな建物の電気設備設計に携わってきました。照明、コンセント、受変電に至るまで、幅広い分野の設計業務を経験しており、実務の中で得た知識やノウハウを、これから同じ業界で頑張る方々へ還元していきたいと考えています。 電気設備設計という仕事は、地味に見えるかもしれませんが、建物の「心臓」とも言える重要な役割を担っています。一方で、設計基準や法令、他設備との調整、現場対応など、複雑で悩みの尽きない分野でもあります。特に業界に入って間もない方や、周囲に相談できる相手が少ないという方にとっては、設計図面の描き方一つ取っても不安や疑問を抱えながら業務を進めている方も多いのではないでしょうか。 そんな方々に向けて、私がこれまでに実際の現場や設計業務の中で学んだこと、失敗したこと、工夫してきたことを、できるだけ実務目線でわかりやすく発信していきます。基礎的な知識の整理から、図面の描き方、法令対応、社内外との調整のコツなど、日々の業務で役立つ情報を中心にお届けする予定です。 この情報発信を通じて、電気設備設計に携わる方々が「少しでも仕事が楽になった」「不安が減った」と感じられるようなお手伝いができれば嬉しく思います。そして、設計という仕事の面白さややりがいも、一緒に感じていただけたら幸いです。 これからどうぞ、よろしくお願いいたします。
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